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S物語(30) 『イスタンブールの奇跡~前半まで』

ツイッターの方で少しずつ書き溜めた「イスタンブールの奇跡」を
ブログに写真付きでまとめていきます。
こっちの方が分かりやすくて楽しいと思いますョ♪
とても長くなるので4回に分けます。

ブルーモスク



スチービー物語(30)
  『イスタンブールの奇跡~前半まで』


 (※ 『S物語』目次 → 
   ファーストネームの多くは通常の表記に替えています。)


決勝戦の2日前、イスタンブールの街は狂喜のスカウサーで埋め尽くされていた。
空港、ホテル、バー、木の上までギッシリ。
俺はキャラに言った。 
「今頃、リバプールの街は空っぽなんじゃないか?」

“You'll Never Walk Alone”や “Fields of Anfield Road”の歌やチャントがひっきりなしにホテルの部屋に響き渡った。 
ベッドに入ってもKOP席の上で寝ているようだった。
有名なジョニー・キャッシュの「ダッダダッダッダ ダダダ!」が頭から離れない。




チケット入手の難しさといったら「チャーリーとチョコレート工場」並みだった。
クラブからの割り当ては一人25枚ずつ。
全然足らないよぉ。

チャーリーとチョコレート工場

 
ウチからはポール兄ちゃんとオヤジが見に来てくれた。
オフクロと飛行機嫌いのアレックスはいくら頼んでも来てくれなかった。

携帯にテリーとアンリから応援のメッセージが届いた。 
ありがたい! 
二人とも最大のライバルであると同時に、最高の友なんだ。
カカーと

ミランのキャプテン、マルディーニと共に試合前インタを受ける時間がやってきた。

キャラが叫んだ。
「カップが置いてあっても、絶対タッチするなよ!」
他の連中も口々に「触るなよ 触るな!」と叫んだ。
フットボーラ―というのはみんな迷信深いんだな。


実際、銀色に光る大耳の横を通り過ぎる時、触りたいという欲望を押さえるのに必死だった。
このカップを掲げたレジェンドたちの顔が次々と浮かんできた。
ケニー・ダルグリッシュ、スーネス、アラン・ハンセン・・・

俺はマルディーニの横に座った。
温和で上品なイタリア人はリラックスしていた。
自信たっぷりに美しい歯を見せて、俺に笑いかけてきた。
俺たちはカメラの方を向いて握手を交わした。

俺は巨匠の横に座った見習工のような気分だった。

声にならない声で叫んだ。
『ちくしょー! ミランのヤツラはもう勝った気でいるんだな!』
『なぁ、パオロさんよぉ。 
 あんたは4回もそのカップを掲げたことがあるんだろ?
 一回くらい俺に掲げさせてくれたっていいだろ?』

シェフチェンコ、カフー、カカー、クレスポ
ミランの選手の顔が浮かんできて、胃が痛くなった。

くそっ、ヤツラをリスペクトはするが、恐れはしないぞっ!
俺たちはリバプールだっ!
オリンピアコス、ユベントス、チェルシを破ってここまで来たんだ。

失うものは何もない! 何もないんだ!!

夕食の後、キャラとハマンとヒーピアが俺の部屋にやってきて、長いこと話をした。


ヒーピア
ヒーピア『私だって 触りたいですよ・・・・』




そしてついに、その日がやってきた。
アタテュルク・スタジアムは街から遠く離れた辺鄙な場所にポツンと立っていた。 
それはまるで砂漠に捨てられた宇宙船のようだった。

そのスタジアムに向かって、スカウサーたちが巡礼者のように列をなして歩いていた。
俺たちのバスに気付くと、一斉にこちらに向かって手を振った。
アイツらはもし決勝戦が月で開催されるとなったら、月にまで追いかけてくるに違いない。

バスは人々でごった返すリバプール・サイドを通り過ぎ、ミラン・サイドを通ってメインエントランスへと進んだ。
ミラン・サイドはビックリするほど静寂に包まれていた。

携帯を開き、マイケルと家族からのグッドラック・メッセージを確認すると、スイッチを切った。
さぁ、試合に集中だ!



ラファはキックオフの1時間前になってようやくスタメンの発表をした。

「GK デュデク
 DF フィナン、キャラ、ヒーピア、トラオレ
 MF ルイス・ガルシア、シャビ・アロンソ、ジェラード、リーセ
 FW キューウェル、バロシュ 
 以上だ。」

えっ、ハマンは?!
ハマンじゃなくて、怪我明けのキューウェルを選んだのか?!!

ハマンをチラリと見ると、全く動じている様子はなかった。
典型的なドイツ人だ。

俺はハマンとアロンソが守備的MFをやって、バロシュの下に俺が来るんだと思っていた。

俺の動揺に反して、ラファはいつも通り冷静に指示を出した。



入場

入場の時間が来た。
トンネルの中で一列に並んでいると、シェフチェンコが握手を求めてきた。
久しぶりに会った旧友のような感じで。

アシスタントコーチのパコ・アジェスタランが俺を呼んで言った。
「キックオフの前に円陣を組むようにな。」


アタテュルク・スタジアムのピッチを踏み、チャンピオンズリーグのアンセムを聞き、ミランの選手と握手を交わし、チームメイトを集めて円陣を組んだ。

俺はこの日のために前から準備しておいた言葉を大声で発した。
「俺たちはリバプールだ。
 これは決勝戦だ。
 ファンたちを見ろ。 あの声を聞け。
 この日が来るのをどれだけ待ちわびていたか。
 あいつらをガッカリさせるな。
 この試合で勝てば一生ヒーローだ。
 負ければ一生後悔する。 
 絶対勝つっ!」

フラッグ




<前半>

試合開始の笛。
キックオフから僅か数秒でトラオレカカーを倒してしまった。

試合前にラファから言われていた。
「相手にバカなフリーキックを与えるなよ。
 ミランはセットプレイに強いからな。」

俺たちはビデオを見せられ、ピルロが世界一のキッカーだということを知っていた。

ピルロのフリーキックに走り込んだマルディーニが見事なボレーシュート!
ノーマークだった。

マルディーニ

1分 1-0

なんてスタートだ。。。
早々と先制したことで、ミランが勢いづいた。

カカーは僅かなスペースを見つけてドリブルし、鋭いパス回しで俺たちを混乱させた。

「コンパクトに!」と俺は叫んだ。

しかし地獄への道はまだまだ続く。
キューウェルが鼠径部をやっちまった。
23分、足を引きずりながらベンチに下がる時、ブーイングが聞こえてきた。
可哀相に。。。
代わりにスミチェルが入ってきた。

リバプールにとって全てが悪い方へ悪い方へと進んだ。
38分、ルイス・ガルシアの放ったシュートを エリア内にいたネスタが肘でカットした。
ルイスは「ハンドボール!」と叫び、スタンドも「ハンド!!!」と騒いだ。

ルイス・ガルシア


しかしメフート・ゴンサレス主審はそれを無視し、PKは与えられず、そのまま試合続行。
(オリンピアコス戦で笛を吹いたのも彼だった。)

その混乱の中、カウンターからカカー、シェフチェンコと繋いで、クレスポが追加点。

クレスポとピルロ


39分 2-0

みんな茫然として立ちすくんだ。
俺は「落ち着け! 自分のポジションに戻れ!」と言うのがやっとだった。

5分後、カカーが魔法を使ってロングパスを送り、クレスポが再び俺たちの陣地を侵害した。

43分 3fxxxn’-0

終わった。。。

手強い

カカーがボールを持った時の速さは尋常じゃなかった。
まるで閃光だ。
俺も足には自信があったけど、軽くいなされるばかりだった。

ガットゥーゾは世間では評価が高い選手だけど、カッコつけてるだけで、俺に言わせりゃぁ怒った仔猫のようなものだ。
全然怖くない。

俺が恐れるMFはリケルメ、カカー、ロナウジーニョの3人。
走って パスして ゴールする、そういうタイプだ。

前半終了の笛が鳴り、ガットゥーゾが歩きながらニヤニヤしているのが見えた。
全く失礼なヤツだ。

俺はイライラしながらドレッシングルームに戻った。
「ヤツラはゲームオーバーだと思ってやがる。
 そんなことあるかっ!」

その先の言葉は出てこなかった。
自分の情けないパフォーマンスを含め、全てにイライラしていた。

誰も喋ろうとしなかった。
ただただ惨めさに打ちひしがれていた。

キューウェルは鼠径部にアイシングをして座っていた。
なんとテニスボール大のコブができていた。

2分ほどすると、フィナンとフィジカルコーチの声が聞こえてきた。
フィナンは「俺に続けさせてください。」と必死で訴えていた。
ヤツも怪我か?

みんなが喋り始めたが、それは非難でも喧嘩でもなく、悲嘆だった。

俺は言った。
「一体俺たちはどうしたって言うんだ?
 何もできていないじゃないか。」

キャラが言った。
「とりあえず、5-0だけは避けようぜ。
 こんなとこまで来て、虐殺はゴメンだ。」



  -後半につづく―





ここで全ての様子を見ることができます。
3時間の豪華バージョン!!



この試合をYou Tubeにアップロードするのは違法かもしれないけど、とてもありがたいです。
動画が削除されると誰かがまたアップしてくれます。
あの日から8年も経つのに、今でもみんなが観たがっているということですよね♪


・前半、リバプールのサポはシーンとしていますね。
たった一度「ユルネバ」が聞こえた程度で、意気消沈してるサポの顔のアップが何度も映され、不安になってきます。 


・ネットの隅でクリアボールしたルイス・ガルシアが可愛かった。


・私はガットゥーゾも好きだったのですが、スチービーはよっぽど嫌いだったらしく、そこまで言うか?というほど嫌悪感いっぱいでした。
それを知ってから試合を見直すと、しょっちゅう二人がやりあってるのが分かって、なかなか楽しいです。


次は有名な「後半」です。
お楽しみに~。

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